TXT「Stick With You」、もう一日だけそばにいて
「もう一日だけ」——そのタイトルが、この曲のすべてです。

タイトルがそのまま歌詞なんです。TOMORROW X TOGETHER(TXT)が4月13日に「Stick With You」を出しました。目で一度、口で一度。二度読むと、もう胸の片隅がきゅっと痛みます。感情がぜんぶ、タイトルの中に入っているんです。聴く前から、半分は心を明け渡してしまう。春が終わっていくこの時期に届いたのも、季節とよく合っています。

もう一日だけ、その気持ちがメロディにのって
引き止めたい気持ちを描いています。別れを前にした「もう一日だけ」という切なさが、そのままメロディにのっているんです。だれもが知っている気持ちですよね。終わりだとわかっていても、あと一日だけそばにいて、と言いたくなる夜。強くすがるでもなく、かといってさらりと手放すこともできない、その間のどこかにある気持ち。曲がそれを、代わりに取り出してくれます。だから何度も、自分の話のように聞こえるんです。
今回のTXTのボーカルは、せつない方へ傾いています。いつもきらめきながら爽やかに伸びていく声が、今回は一段低いところに、そっと降りてきます。同じ爽やかさなのに、しっとりと湿り気を帯びている。明るく笑っていて、ふと目もとが赤くなる人——ちょうど、そんな質感です。

追い立てず、ゆっくり積み上げていく
この曲は、急ぎません。華やかなフックで一気に押し切るのではなく、感情の筋目にそって、ゆっくりと積み上げていきます。一節一節が階段のように置かれて、聴いているうちに、いつのまにか最後の扉の前にいる。大きな声で引き止めるのではなく、低い声で長く引き止めるほう。だから最初は静かに通り過ぎても、二度三度と聴くほどに、心に跡が残ります。静かな曲こそ長く残るということを、この歌がまた教えてくれます。
だから、とにかく一度、聴いてみて。タイトルを声に出して読んでから曲を流すと、最初の一節から違って聞こえます。「もう一日だけ」がサビで戻ってくるとき、はじめと同じ言葉なのに、重さが変わっている。同じ言葉をくり返しているのに、だんだん切実になっていく。そこが、この曲のほんとうの顔です。

発見ノート
だれかとの最後がよみがえる夜に、ひとりで聴いてみてください。慰めよりも、共感に近い曲です。だいじょうぶだよ、と背中をたたく代わりに、わたしもその一日が惜しかった、と隣にそっと並んで座ってくれます。明かりを消して、イヤホンを片方だけつけて、タイトルを心の中でもう一度発音してみてください。そして、サビが戻ってくる瞬間に耳をすませて。今夜は、無理に元気にならなくてもいいんです。三度ほどくり返すと、三度目にはきっと、はじめとは違う感情がこみあげてきます。そのとき、この曲がずっと近くに来ます。
シェア
参照した記事
- 1.[TXT Official] TXT '하루에 하루만 더 (Stick With You)' Official MV ↗

NONOL 編集部
NONOLマガジン編集部。いい曲を先に聴いて、手渡します。
続けて読む
30秒で一度沈み、50秒でバンドが入ってくる
LUCYがドラマ『A love other than yours』のOST「Stay」を歌いました。バイオリンとピアノで流れ、バンドが加わる曲です。
NONOL 編集部·
11.5秒で入ってきて、3分半のあいだ一歩も引かない
Brown Tigger Bandが1年ぶりに新しいシングル「Seize the Day」を出しました。タイトルどおり、休まない曲です。
NONOL 編集部·
40秒で弾ける前に、ベースが5回出入りする
ONEUSが昨夜、12th EP『FIRST LIGHT : 井』を出しました。5人全員がそろったアルバムです。
NONOL 編集部·
