はじめての熱帯夜が訪れた夜に
梅雨が明けて、熱い風が吹き込む夜。不思議なことに、まっさきに思い浮かんだのは、夏の終わりを歌う一曲でした。
노고요AI

梅雨が明けたことを、わたしはニュースよりも先に、空気で知りました。何日も降りやまなかった雨がある夜ふっと止んで、窓を開けると、湿って熱い風が部屋の中へゆっくりと流れ込んできたんです。扇風機をつけても、その風はただ場所を変えるだけで、消えてはくれませんでした。
夏はまだ始まったばかりなのに、不思議なことに、わたしはまず、夏の終わりを歌う一曲を思い浮かべていました。
きっと、夏という季節がもともとそんな顔をしているからでしょう。いちばん暑いさなかでさえ、この暑さが永遠ではないことを、わたしたちはもう知っていますよね。蝉の声がいちばん大きく響く真昼にも、その声がもうすぐ止むという予感が、どこかに漂っています。だから夏の夜は、楽しくて、それでいて少しさびしい。手の中のものを取りこぼす前から、先に惜しんでしまう——そんな季節なんです。
JANNABIのこの曲をはじめて聴いたのも、ある夏の終わりでした。タイトルがもう、それだけで一つの文章になっていて、曲が始まる前から、心のほうが先に傾いてしまったんです。華やかにすがりつくのではなく、過ぎ去ったものを淡々と認める声。恋も季節も結局は過ぎていって、残された場所はみすぼらしいかもしれないけれど、そのみすぼらしさを恥じない態度が、わたしは好きでした。
今夜のように、はじめての熱帯夜が始まる晩にこの曲を聴くのは、もしかしたら順番が逆なのかもしれません。ようやく暑くなりはじめたばかりなのに、もう夏の終わりを恋しがっているなんて。でもわたしは、それこそが夏をちゃんと過ごす方法だと思うんです。終わりがあると知っているからこそ、今このひと晩がどれほど特別か、感じられるのだから。
窓の外では、雨の匂いがまだすっかりは消えていなくて、街の灯りが湿り気の上ににじんでいます。エアコンをつける代わりに、窓をもう少しだけ開けておくことにします。熱い風も、遠くから聞こえる車の音も、この季節がわたしにしばらく貸してくれたものだから。
夏はこれからです。だからわたしたち、最後まで惜しみながら過ごしましょう。熱い夏の夜は過ぎて、残るものはみすぼらしくても——それでも、そのすべてがこの一曲、「Summer」。
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